私たちは、関東森林管理局静岡森林管理署との協定に基づき、富士山南麓の国有林を復元するボランティア活動を行っています。現場は大型台風の被害を受けた場所。自然の復元力に人間が手を貸してあげることで、早く豊かな森に戻れるよう「手助け」をすることが私たちの活動の目的です。
どんな手助けをするのが森にとって一番いいのか、あるいは何をすべきで、何をすべきではないのか。実は、これらを考えながら現場で作業を進めるうちに、森の自然から学ぶことがたくさんあります。私たちの生き方のヒントにもなることがたくさん含まれています。
「森を育てる。森のしくみに学ぶ」を、ぜひ皆様も体験していただきたいと思います。
山の自然学クラブでは、年3回の定例活動と、冬を除く年間を通しての現場作業を行っています。関心のある方は、事前にご連絡いただければ自由に参加していただけます。
「植樹」「下草刈り」「種採り」の定例活動は1泊2日で特に充実した内容です。ハイキング感覚で周辺の自然を学ぶ自然観察会も組み合わせて行います。
私たちの活動は、1回限りの参加者を対象にした体験型イベント(植樹祭のような)はなく「自然植生を目標として」植林地内での作業や下刈りを行いますので、華やかな催しはありませんが、関心のある方には意義深く楽しめるような活動を行っていきたいと思います。
作業への参加が、皆様にとってこれらを考えるいい機会と体験になれば幸いです。地元産の広葉樹を何種類も植えてあったり、動物の痕跡が多く残っていたり、いろいろ考えられる、楽しい現場です。
現場は富士山南麓の標高960m付近、表富士スカイラインから少々下った場所にあります。2003年時点で植栽から5年経過した植林地で、植栽されているのはブナ、ミズナラ、ヒメシャラ、マメザクラ、ホオノキ、イロハカエデ、ヒノキなど(広葉樹は)地元産の種子を用いた苗木でした。
植栽された苗や侵入してきた木本、草本の様子を観察したところ、生存している植栽木の密度は場所によって差がありましたが、生存している植栽木に関しては総じて状態がよかったようでした。そこで、私たちは以下の2点を保育方針としました。
また、同じ植生帯に属する森林の様子を観察したところ、西臼塚周辺やグリーンキャンプ場上部などのスカイライン周辺には多少手の入ったブナ林等復元目標となる原生に近い森林が残されていたことから、これらの植生を復元目標として設定するに至りました。
山の自然学クラブでは2003年から、関東森林管理局静岡森林管理署と協定を締結して、富士山国有林で森林復元活動(国民参加の森林づくり/社会貢献の森)を行っています。協定は2021年4月に更新して5期目に入りました。
協定では、森林管理局は富士山国有林200林班た小班4.56 haを当クラブの活動に提供することになっています。「活動」とは、「観察・記録・刈り出しなどの手入れを行い、従来の富士山の植生への復元・最善の育林方法の実施を目的とする行動」であり、また活動には、誰でもボランティアとして参加できることが協定の条件であるとされています。
当会の自然保護活動全般に関し、東京農業大学地域環境科学部森林科学科 治山・緑化工学研究室から様々な面でサポートをして頂いております。
富士山の活動で採取した種はすべて、東京農業大学 治山・緑化工学研究室にて精選・管理・保存して下さっています。種子の保存までに必要な工程は非常に繊細で煩雑ですが、そのほとんどを研究室の方々にお手伝い頂いています。
採取した種子の大半は富士山の自然に戻していきますが、大学の研究室での実験や郷土種の種が必要になった現場の緑化などにも利用して頂くことになっています。また私たちが植林地の補植に使用している苗木は、現地で採取した種から東京農業大学の圃場で学生さんが大切に育ててくださったものです。
福永健司先生をはじめとする研究室の皆様の多大なるご協力をここに記し、深く感謝します。
活動開始時の現場は草原の状態で樹木はまばら、隣接する人工林のむこうに富士山の山頂を見ることができました。
夏には一面、草原のようにススキが覆う状況でした。
ウツギなどの低木が増えて、太陽光の届かない暗い場所ができるようになったので、余分な低木は刈り取り、目標となる森に必要なミズナラやカエデなどの苗木を植樹。
> 詳しくはこちら
団体参加者を受け入れて、植林地の手入れや植樹活動といった実作業と、自然観察会を組み合わせたプログラムを積極的に推進。
> 詳しくはこちら
全体的に草地であった植林地も遷移が進んで、低木に覆われるようになる。それらを調整しながら、大木に育つ樹種を植えていく段階に。
> 詳しくはこちら