現地講座5(日帰り)
講師:多田 多恵子(東京農工大学、立教大学、国際基督教大学非常勤講師)
~江の島の海岸植生と植物の生態~
【講師コメント】
「観光地・江ノ島で、知られざる自然を探索します。ぐるっと回れば、砂浜、磯浜、急峻な海崖、暖帯照葉樹林、風衝低木林などが観察でき、海辺特有の植物に出会えます。塩分、乾燥、貧栄養、強風など厳しい環境で生きる植物の体の仕組みや戦略を見ていきましょう。野生のガクアジサイやスカシユリも咲くころです。海の生き物や漂着種子も探してみましょう。」
動けない植物は2度旅をします。一つは花粉の旅、もう一つは種子の旅です。
植物は花粉を風に運ばせたり、虫や鳥や動物を操ったりして、巧みに花粉を運ばせています。動物を利用する花はいうなればレストラン、ごちそうは蜜と花粉で、花びらや香りは広告です。誰でも入れるオープンな花は多様な客を広く招くファミレスで、ごちそうを奥に隠して器用なハチや口の細くて長い蝶や蛾といった特別な客だけ誘うのは会員制のレストランです。花のレストラン街には、キノコや動物の死体に化けて虫をだまして花粉を運ばせるぼったくり店?もあったりします。
種子の旅も巧みです。風や水に運ばれたり、鳥や動物の食欲を利用してタネを運ばせています。でも動物に一度に食べられたら糞もまとめて出されてしまい、タネは運ばれたことになりません。そこで植物は、動物が食べる量を制限すべく、毒を仕込んだり少しずつ熟したりします。私はこれを「ちょっとだけよの法則」と呼んでいます。
植物の防衛戦略も巧みです。植物は走って逃げたりはできない代わりに、さまざまな防衛物質を作り出すことによって大切な葉を食べられないように守っています。
ちょっと意識して、五感を駆使して「見て」みれば、植物の意外な知恵や不思議が見えてきます。そして植物のかげにはきまって虫たちも生きています。植物と虫との様々な関わり、鳥や動物、菌類などとの関わりにも目を向ければ、さらに世界が広がります。
集合 | 10:00 江の島弁天橋の石碑前 |
アクセス |
※時間等は時刻表で確認してください。 |
多田 多恵子(東京農工大学、立教大学、国際基督教大学非常勤講師)
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