2012年 高山植生モニタリング 第二回報告
2012年8月17-20日に木曽駒側調査地の植生調査を行いました。今回は埼玉浦和学園高校の山岳部が参加してくれました。前半は天気にあまり恵まれなかったのですが、高校生パワーで予定通り調査が終わりました。ここから将来の山岳保全の担い手が生まれてくれると嬉しいです。
調査を始めて5年。自然の営みを考えるとまだまだ短い年月ですが、少しだけ自然の移り変わりが見えてきました。一部の調査地ではハイマツが随分伸びたところもあります。植被率が増えたところもあります。ハイマツの枝の伸長量は前年の夏の気温と生の相関関係があるそうですが、近年暖かい年が続いているせいかもしれません。寒い年がきたらハイマツが枯れたり植被率が減ったりするのでしょうか。長い目で傾向を見る必要があります。
2008年9月5日撮影 2011年8月27日撮影
他にも植被率が増えている調査区があるのですが、目視による植被率では人による誤差が入ってきてしまいます。そこで写真をもとにした算出を試みています。調査の際に撮影している調査区の写真を、独立行政法人国立環境研究所の方が整形し、植被率を算出して下さっています。植被率を計算した一例を示します。写真の歪みを取り除き、調査枠などの人工物は除外して植物の部分とそれ以外の場所を識別します。
現在、昔の写真を活用し、高山植生の変化を評価するといったことにも取り掛かり始めました。下の写真は木曽駒ヶ岳の西側斜面を見上げたものです。39年間の変化を示しています。やはり植被率が増えているのが見てとれます(左1973年撮影、右2012年撮影)。
高山環境に起こっている変化について、昔の資料なども活用しつつ、これからも長い目で見続けていきたいと思います。ご参加の皆様本当にお疲れ様でした。そしてどうもありがとうございまいした。